「Niagara Dreaming」に込められたインスピレーション

Happy Ending 全曲解説 その1


『Niagara Dreaming』


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初めて聞いたはずなのになんだか知っているような気がする…という方も多い1曲目の「Niagara Dreaming」。

実は、「恋するカレン」のサビの部分の分厚いコーラスのパートを抜き出して、1番と2番をリレーしたものです。

「A LONG VACATION」40周年記念盤のボーナス・トラック用に大滝さんがキープしておいたのではないかと思うのですが、なぜか今回、アルバム「Happy Ending」の1曲目に抜擢されました。


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もしかしたら、この「Niagara Dreaming」を超える“お宝サービス・トラック”がたくさん存在していて、「A LONG VACATION 」40周年記念盤でお披露目される前振りなのかもしれません。

「Niagara Dreaming」のコーラスのサウンドはクリアで聞きやすく、「恋するカレン」のカラオケとはパートごとのバランスや定位が変えてあります。

初めから市販用に堪え得るクオリティで、このコーラス部分の抜き出しミックスを行ったことがうかがえるのです。

時期でいえば、マルチ・トラックのテープの劣化が避けられない近年ではなく、10年、20年というスパンの過去に「抜き出しミックス」が完了していたと思われます。

過去のサウンド&レコーディング・マガジン誌上で、エンジニアの吉田保氏が「A LONG VACATION 」のサービス・トラックをミックスしたと語っており、その時の産物かもしれません。


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「A LONG VACATION 」発売前にファンにお披露目された頃、初期バージョンの「恋するカレン」は女声コーラスのみがダビングされ、大滝詠一さん自身のコーラスはまだかぶせられていませんでした。

大滝さんのコーラスが後に重ねられたことで、サビの高揚感が格段に増したと思います。

どんなにレコーディング技術が進歩しても、カバー作品群が御本家の「恋するカレン」を超えられないのは、このサビの部分のコーラスに込められている大滝さんの『プラス・アルファのインスピレーション』に迫り切れていないからでしょう。


プラス・アルファのインスピレーションとはどういうことなのでしょうか。


大滝さんは、「恋するカレン」のサビの旋律で、サーチャーズのバージョンの「Where Have You Been (All My Life)」を下敷きにしています。

この曲の作曲者は、あのバリー・マンです。





「恋するカレン」のサビのバックでは、同じくバリー・マンが作曲した「ロックンロール・ララバイ」由来のシャナナ・コーラスが奏でられています。




さらに、ビーチ・ボーイズなどが歌っているスタンダード曲「ハッシャバイ(Hushabye)」からの一節が、大滝さんのファルセットで2小節ほどですがチラッと聞こえます。
同曲の歌詞では「ララバイ」と歌われています。




それに連なる大滝さんのファルセットは、フォー・シーズンズの「悲しきラグ・ドール」の終盤のファルセットのフレーズが染み込んでいるようです。




バリー・マン作品同士の重ね合わせや、ララバイとハッシャバイのいわばバイバイつながり…。

物理的に断片をつないだというより、大滝さんの独特なひらめきで素材が融合されて一体化する…。

まさに、ドリーミングな“インスピレーション”のなせる業なのでしょう。



※「恋するカレン」については、本宅『れんたろうの名曲納戸』



をご参照ください。




















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この記事へのコメント

れんたろう
2020年03月24日 20:15
フォー・シーズンズの曲の該当箇所は、2分30秒前後のあたりと、2分45秒前後のあたりです。