「恋するふたり」について知っている2、3の事柄

Happy Ending 全曲解説 その4


『恋するふたり(Album Ver.)』

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今回は長くなりそうなので、目次としてこんな展開になります、というご案内です。

電車内でご覧になる方は、くれぐれも降車駅で乗り過ごさぬようお気を付けて…。

ご自宅のPC閲覧で、YouTubeの曲を最後まで聴いて画角が右にズレて左端の文字が欠けたときは、お手数ですがブログの再読み込みをお願いします


1.「恋するふたり」という曲名の由来

2.「恋するふたり」で大滝さんがチャレンジしたこと

3.「恋するふたり」アルバム・バージョンの変更点

4.「恋するふたり」補足する二、三の事柄


1.曲名の由来

大滝詠一さんによるナイアガラ・サウンドのあくなき攻究とともに変遷していった「恋するふたり」については、交通整理が必要です。


まずは、お手元に「 NIAGARA TV Special Vol.1 」を用意のうえ、「恋するふたり (15sec Ver.)」をお聴きください。

「東京ラブ・シネマ」の初回放送の前の時期に流れたものです。

あらためて聴くと、オリジナル・キーから転調した後の半音上のキーになっていることに気付きます。

ミックスは、「Niagara Rarities Special 」に収録されている「恋するふたり(Title Back Version)」に近いものです。

これらをふまえて、浮かび上がってくる事実を列挙します。

  •  主題歌として流れた「恋するふたり(Title Back Version)」は間奏でフェードアウトするが、実際はその後の部分も含めて、フルサイズで録音されていた。

  •  「恋するふたり (15sec Ver.)」は、シングル・バージョンの歌詞カードでいうところの「Boy meets girl Girl meets boy 恋するふたり 誘われた心に さらわれていく季節」の部分。この歌詞は2回出てくるが、転調した後なので歌詞カードの最終3行の部分ということになる。

  • 15秒バージョンの頭に“2拍3連”の駆け上がりブリッジがくっついている。ハープが途切ずに聞こえることから、クロスフェード編集などを駆使してブリッジと歌い出しとを繋げた。あるいは、シングル・バージョンよりも短い「恋するふたり( STRINGS VERSION )」とまったく同じ構成で録られた、別のフルサイズのタイトルバック・バージョンが存在した。 

  • 15秒バージョンで聞ける初代の歌詞と歌メロは、主題歌として流れたタイトルバック・バージョン以降では変更された。



「恋するふたり (15sec Ver.)」の歌詞は、こんな感じです。


♪Boy meets girl Girl meets boy

 おとなの恋はー

 さっそわれ とっまどい

 さらわれていくー 春に

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タイトルバック・バージョン以降で変更された歌メロというのは、「♪おとーなのこーいーはー」のところです。

「恋するふたり」のシングルのカップリングだった「恋するふたり( STRINGS VERSION )」には“初期メロディ”の名残があります。

ストリングス・バージョンの1分59秒以降、あるいは3分18秒以降を聞くと、「♪おとーなのこーいーはー さっそわれ とっまどい」という初期の歌メロをしっかりなぞっています。


ここまでの交通整理をふまえたうえで、話を本論へ進めます。



この「♪おとーなのこーいーはー」の歌詞は、「東京ラブ・シネマ」のドラマ・コンセプトが、まさに「大人の恋」だったことに由来しています。

当時、ヒロイン(財前直見)が月9ドラマ史上最高齢だったため、話題になりました。

余談ながら、なぜかサビの歌詞は「Boy meets girl Girl meets boy」で、大人の恋なら「レディース・アンド・ジェントルメン」なのではないか、という「アンマッチ感」を感じたものです。

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当初、曲の仮タイトルは「春立ちぬ」でしたが、後に「恋するふたり」へ変更されます。

曲名としては凡庸に見えますが、「恋するふたり」の重要な下敷きソングの一つがフランキー・アヴァロンの「恋は二人のもの」であることに関係しているのでしょう。

「恋は二人のもの」の始まってすぐ21秒で、「♪おとーなのこーいーはー」のメロディ・ラインが聞こえます。

「♪さっそわれ」の旋律も25秒あたりで聞けます。

「♪甘い君の ささやきにー」の流れも49秒あたりから感じ取れます。




大滝詠一さんは、フランキー・アヴァロンのチャンセラー・レコード時代の曲を全てチェックしていたふしがあります。

フランキー・アヴァロンのナンバーのうち、特にヒット曲「ビーナス」の雰囲気が大好きだったようです。

アメリカン・ポップス伝パート3でも紹介していましたし、「ビーナス」の冒頭の女性コーラスのフレーズを複数回、自曲で引用しています。

「恋するふたり」のイントロのソプラノ・ボイスのイメージも、松田聖子の「風立ちぬ」の1分23秒あたりで聞こえるブリッジ部分での女声コーラスのフレーズも、「ビーナス」からだとわかります。

同じく松田聖子の「四月のラブレター」に至っては、曲想がまるまる「ビーナス」から派生しています。





2.チャレンジしたこと


松田聖子への提供曲「風立ちぬ」では、各パートのサウンドが絶妙に混然一体化してナイアガラ・マジックが如何なく発揮されているのですが、「恋するふたり」のイントロでは「アンマッチ」を感じる残念なところがいくつかありました。

主題歌として流れた「恋するふたり (Title Back Version)」の前奏には入っていないソプラノ・ボイスが、「恋するふたり(シングル・バージョン)」では足されています。

これが賛否両論を呼びました。たしかに、ちょっと甲高くて浮いているようにも感じます。

オルガンの音もうまく混ざっていません。ほんとはグリッサンド奏法で入れたかったのでしょうが、それでは目立ち過ぎてしまったのでしょう。


従来のナイアガラ・マジックがうまく機能しなかったのには、原因があります。

大滝さんは「恋するふたり」で、これまでとは違うチャレンジをしていたのです。

一つは「高音から低音へ」、もう一つは「エコーを極少に」というものです。


まず、一つ目、「高音から低音へ」。

ポピュラー音楽でよくあるパターンは、低音域からAメロが始まってサビは高音域で盛り上がる…というものです。

例えば、森進一への提供曲「冬のリヴィエラ」なら、「♪あいつによろしくー」で低く始まり、「♪かなしけーれば かなしいーほどー」とサビで歌い上げるというように。


しかし、大滝さんは「恋するふたり」でその逆を試みました。

出だしは、耳目をひく「♪アアアーアー」というソプラノ・ボイスで始まります。

ポピュラー音楽でこんなハイトーンなソプラノ・ボイスが出てくるのは、トーケンズの「ライオンは寝ている」くらいでしょうか。

始まりがソプラノな一方、終わりは「♪さらわれーてくーきーせえーつうー」というフランク永井ばりのバリトン・ボイスで締めています。


ここで、先日の「大滝詠一 Happy Endingの世界」の番組中で明かされたエピソードを思い出します。

山下達郎さん、能地祐子さんらをカラオケに誘う際に、大滝さんが「俺のフランク永井を聴きたいか」と発言したというものです。

この当時、自らの低音ボイスの魅力に気づかされる何らかの契機が、大滝さんにあったのかもしれません。


「高音から低音へ」言い換えれば「上から下へ」のコンセプトは、「恋するふたり」のブリッジ部分、「♪揺れて ふいに ふれた 指先が~」のところでも活かされています。

大滝さんは「恋するふたり」について往時のラジオ番組で、「ここで(ブリッジで)下がるのは珍しい」と語っていました。


この“下がる”について、少し解説が必要です。


ふつう、大サビやブリッジでコード展開がなされるときは、“上がる”ものです。

たとえば、「カナリア諸島にて」の大サビでは、

「♪あーの焦げだしたー夏に酔いしれー」の後に

「♪夢中でおーどるー」と展開するときに、フレーズの頭のコードがEbm7からFm7へ上がっています。

これは、ポップスの王道的展開であり、フランク・シナトラが歌い、シェリー・フェブレーもカバーした「夏の思い出」の1分17秒あたりから同じ展開が聞かれます。




ところが、「恋するふたり」では、

「♪揺れてふいにふれた指先が」の後の

「♪胸の鼓動かーくーし」でF#mからEメジャーを経由しEmへ下がっているのです。

このコード展開は、たしかに多数派ではないかもしれません。

このことが先に挙げた大滝さんの発言「下がるのは珍しい」につながるわけです。


ナイアガラ作品群の中で他に“下がる”展開が聞けるのは、松田聖子への提供曲「いちご畑でつかまえて」のブリッジ部分です。

ニール・セダカの代表曲「悲しき慕情(Breaking Up Is Hard To Do)」のコード進行のパターンに似ています。

51秒あたり、1分25秒あたりでその展開が確認できます。




さて、大滝さんが「恋するふたり」で試みたもう一つのチャレンジ、「エコーを極少に」についてです。

今回の「幸せな結末 (Album Ver.)」を聞いて、「ふ、深い、ボーカルのエコーが深すぎる…」と思った方もいらっしゃるかもしれません。

何もこれ、アルバム・バージョンだから“てんこ盛り”にエコーをかけてあるのではありません。

もともと、シングル・バージョンの「幸せな結末」でも同等のロング・リバーブ(エコー)がかけられているのですが、バックの演奏とミックスされることで、エコー感がマスキングされているのです。


1980年代は日本の歌謡界も「A LONG VACATION」の影響下で、エコー多めの曲が少なからずありましたが、2000年代に入ると、特にボーカルにエコーをかけるケースは洋楽でもジャパニーズ・ポップスでも激減していました。

ちょうど2000年をまたぐ頃は、音楽業界の現場でPRO TOOLSが浸透していく技術革新の時期でした。

当時のDAW(Digital Audio Workstation)事情は、クリアでヴィヴィッドなサウンドが長所としてあり、一方で、リバーブ(エコー)の残響の演算処理が追い付かないのが弱点としてありました。

そのため、海外でも国内でもリバーブ(エコー)の乗った曲は徐々に見当たらなくなっていたのです。

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シングル・バージョンの「恋するふたり」を聴くと、従来のナイアガラ・サウンドに比べて、明らかにエコーが減らされているのが分かります。

ボーカルのロング・リバーブは無く、大滝さんの歌声がグッと前に出てきています。

ドラムやパーカッションのサウンドも「幸せな結末」に比べれば、まるでドライ(ノン・エコー)です。


大滝さんは、古色蒼然としたナイアガラ・サウンドの様式美を必ずしも良しとせず、当時のサウンドの流行に柔軟に反応して軌道修正の舵を切ったのでしょう。

このチャレンジでうまくいかなかった点は、後で述べるように、アルバム・バージョンの「恋するふたり」で微修正されています。


“ノン・エコー”のほかに、ボーカルを曲の途中で部分的にダブルに重ねる、というのも当時のレコーディングの流行りでした。

特にサザンオールスターズの桑田佳祐のボーカル処理では多用されていました。

2020年の『Happy Ending』リリース記念展示で公開された、大滝さんの手書き歌詞カードを見ると、31~46テイクにも及ぶボーカル・トラックの中から、パズルのようにOKテイクを組み合わせ、「恋するふたり」のワンコーラスの中で、シングル・ボーカルとダブル・ボーカルをまだらに混在させていることが分かります。
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15テイクにも及ぶ歌唱のせいなのか、シングル・バージョンの「恋するふたり」の大滝さんの歌声は、かすれているように聞こえるのが残念です。
ボーカル全般についても、アルバム・バージョンでは改良が加えられているようです。




3.アルバム・バージョンの変更点

足し引き


「恋するふたり」のアルバム・バージョンで足し引きされた箇所として分かりやすいのは、イントロとエンディングです。

イントロのソプラノ・ボイスは大胆にカットされ、エンディングで「FUN×4」を想起させる歌声の一節が初登場しています。

「恋するふたり」ではエコーを減らしており、「風立ちぬ」のように女声コーラスを奥に拡散させてなじませるというふうにはいかず、ソプラノ・ボイスが浮いてしまった…。

大滝さんが、そう分析した末にカットへと至ったのかもしれません。


シングル・バージョンでは、「♪揺れてふいに ふれた指先が~」(1分18秒~)のブリッジ(大サビ)部分で、バックの音像がぐしゃっとなり、リズムがもたっているように聞こえてしまうものです。

一方、アルバム・バージョンでは、2回あるブリッジのうち1回目で、やや後ノリになっているフルートをカットしています。

また、右チャンネルで聞こえる もたつき気味な中低音のピチカートを2回とも整理しています。

これによって、ブリッジ(大サビ)をスッキリと聞かせることに成功しています。



ボーカル


「恋するふたり」のシングル・バージョンでは、とにかくボーカルとドラム、特にスネアの音量が大きくミックスされていました。

かつて、「幸せな結末」がドラマ主題歌を集めたコンピレーション盤に収録されたときに、他の曲に比べてとりわけ大滝さんのボーカルがひっこんで聞こえたことがありました。

そのことを大滝さんが気にして、「恋するふたり」のミックスではボーカルのチャンネル・フェーダーがぐっと上げられたのかもしれません。

今回のアルバム・バージョンでは、ボーカルのバランスが下げられています。

その分、ボーカル・パートが埋没してしまわないように、歌声の輪郭がシャープに聞こえる絶妙なイコライジングがされています。

コンプの処理もうまく、ボーカルが前に張り付いていながら、残響の減衰も持ち上がっています。

ボーカル・パートのメインに使用されているテイクはシングル・バージョンと変わりないようですが、41秒あたりからの「♪奇跡のように めぐり逢うー」の「うー」をシングルとアルバムとの両バージョンで聴き比べると分かるように、ダブリングの重ね方が変えてあります。



ドラム


「恋するふたり」のシングル・バージョンで歌声とともに目立っていたドラム。

「幸せな結末」のレコーディングでは上原“ユカリ”裕さんのドラムが陰の主役でしたが、「恋するふたり」でのそれは、林立夫さんのドラムだったのです。

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しかし、私は「恋するふたり」のスネア・ドラムの音がどうも苦手でした。

スネアのチューニングが高めで、スナッピー(スネアワイヤー)の音が聞こえ過ぎるのです。

個人的な好みとしては、ナイアガラ作品のうちサウンドが厚めの曲なら、「ペパーミント・ブルー」や「風立ちぬ」のように「ドッフ」という重めなスネア・ドラムが鳴っていてほしいのです。

「恋するふたり」のシングル・バージョンで聞こえるスネア・ドラムのサウンドには、一考の余地があると感じていました。

大滝さんもそれを気にしていたのではないかと、今回、思ったのです…。

アルバム・バージョンでは、スネア・ドラムのミックス・バランスが下げられています。

スネア・ドラムの音色の面では、シャカシャカした高音域がカットされています。

スネア・ドラムを抑えたその分、リズムを補完するかのごとく、アルバム・バージョンではパーカッション群がにぎやかにミックスされています。

イントロの後、歌メロに入ってからは、スネア・ドラムの鳴るタイミングに合わせてタンバリンが鳴っています。

これ、シングル・バージョンでは聞こえないので、アルバム・バージョンでスネアをマスキングするために後からタンバリンをオーバー・ダビングしたのか?とも思いましたが、タイトルバック・バージョンのときに既に微かに鳴っていました…。



リズム


「恋するふたり」でフィーチャーするリズムについては、リリースごとに変遷しています。

まず、タイトルバック・バージョン。「FUN×4」のように4つ打ちするハンド・クラッピングがフィーチャーされています。

次に、シングル・バージョン。「風立ちぬ」の基本リズムのように「♪ッタララッタ タカタカ」というカスタネットの刻みが前面に打ち出されています。

そして、アルバム・バージョン。ハンドクラップもカスタネットもタンバリンも全部鳴らしちゃえ!というゴージャスなミックスです。

シングル・バージョンではほとんど聞こえなかったビブラスラップも、ここぞというシーンでヒノキ舞台に立っています(3分59秒あたり)。

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C / Em / Am / Em 」という“ナイアガラ哀愁コード進行”の総決算としての「恋するふたり」。

この入魂の一作でどんなリズム・パターンをフィーチャーすべきなのか、前述のような変遷から、大滝さんがかなり逡巡していたことがうかがえるのです。


この迷いというか熟慮については、「恋するふたり」のイントロのお尻、つまり歌い出しの直前部分(15秒あたり)でも感じられることでした。

シングル・バージョンの歌い出しの直前部分は、「風立ちぬ」の前奏の末尾(11秒あたり)と同じフレーズでした。

このフレーズは、「風立ちぬ」の元ネタ曲として有名な「ブルー・ジーン・ビーナス( Venus in blue jeans)」の1分55秒以降でも繰り返し聞こえます。

「ブルー・ジーン・ビーナス」の作曲は、あのジャック・ケラーです。



遡って、タイトルバック・バージョンの歌い出しの直前部分は、「白い港」の間奏(2分59秒)のような“2拍3連”でした。

「東京ラブ・シネマ」放送後の2004年の新春放談で大滝さんは、「自分のことを知らないドラマ・スタッフもいた」というお話をしていました。

そのせいなのかどうか、ドラマの劇中、喫茶店の店内で流れる曲が、円広志の「夢想花」だったのが印象的でした。

2003年のドラマなのに1978年の曲が流れるなんて…。

この曲がチョイスされた理由は、「夢想花」の1分15秒のところにあったのです(笑)。





4.補足する二、三の事柄

「 NIAGARA TV Special Vol.1 」には、「恋するふたり(東京ラブ・シネマ Ver.)」という謎めいたバージョンが収録されています。

タイトルバック・バージョンやシングル・バージョンのボーカルはドライ気味ですが、この東京ラブ・シネマ・バージョンでは、ウェットで暗めなルーム・リバーブが目立ちます。

ナイアガラ・サウンドの定番エコー、EMT140のような明るいプレート・リバーブとは明らかに印象が異なります。

また、東京ラブ・シネマ・バージョンでは、1分34秒あたりの「♪Boy meets girl Girl meets boy」のところで、“エモい”フォール&しゃくり歌唱法が披露されています。

聞き逃している方は、今すぐ(帰宅したらすぐ)ご確認ください。


実はこのバージョン、「東京ラブ・シネマ」放送当時の長野放送にて、朝の天気や番組情報が放送されるバックで流れていた音源に似ています。

ファンの間では、「誤って事故音源やデモ音源が流れてしまったのではないか…」と話題になったものです。

今回の東京ラブ・シネマ・バージョンよりも、もっと盛大にフォール&しゃくりしているものなど、複数のバージョンがあったと記憶しています。

当時の印象では、さらに深くエコーがかかっていたような気がするのですが…。


ただ、今回この問題の箇所をあらためて聞いて、鮮明になったことがあります。

大滝さんにとって、「♪Boy meets girl」から「♪ Girl meets boy」にかけてのダウン(フォール)とアップ(しゃくり)には、グランドキャニオンとマッキンリーくらいのイメージの高低差があるのだろうということです。


ダウンは、こんなイメージなのでしょう。

コニー・フランシスの「ボーイ・ハント( Where The Boys Are )」(1961年)の35秒あたりです。

これは、ニール・セダカの作曲です。




一方、アップはこんなイメージだと見せかけて…。

ボビー・ヴィントンの有名曲「ブルー・ヴェルヴェット」(1963年)の37秒あたりです。


何しろ、大滝さんもヘッドフォン・コンサート(1981.12.3)の舞台で「ブルー・ヴェルヴェット」、歌っているんですから…。


実は、こっちのイメージなのでしょう。

ボビー・ヴィントンのヒット曲「ブルー・オン・ブルー ( Blue on Blue )」(1963年)の2分10秒あたりです。

これは、バート・バカラックの作曲です。


つまり、これを聴いてわかるのは、「事故音源」(笑)なのではなく、東京ラブ・シネマ・バージョンの“エモい”歌唱箇所(1分34秒)は大滝さんにとって、「気分は ボビー・ヴィントン」あるいは「気分は バカラック」だったのです。

だから、「♪Boy meets girl Girl meets boy」の後ろは「青い空の下」でなければいけないのです。

ブルー・オン・ブルー」&「ブルー・ヴェルヴェット」&「ブルー・ジーン・ビーナス」なだけに。

…ホントか!?(笑)


ドラマ主題歌としての「恋するふたり」に慣れ親しんだ後で劇中に登場してきたのが、シングル・バージョンの「恋するふたり」でした。

ここで驚いたのは、エンディング部分にダンドゥビ・コーラスが足されていたことです。

「風立ちぬ」だと思って聴いていた曲が、突然「FUN×4」になったようなサプライズでした。

実際、そうなのですが…(笑)。


ダンドゥビ・コーラスで断然有名なのは、先に登場したニール・セダカの代表曲「悲しき慕情」ですが、ここではもう1曲、トーケンズの「 TONIGHT I FELL IN LOVE 」をお聴きください。

ホワイト・ドゥーワップの秀作として知られている曲です。

トーケンズの創設メンバーとして在籍していたのがニール・セダカでした。




“満を持してリリース”だった「恋するふたり」は2003年の5月末に発売。

初夏の気分の中で聞いた「♪春はいつでーも」という歌詞には、「アンマッチ感」が漂ったものでした。

そして、「東京ラブ・シネマ」は当時の月9ドラマ史上で、最低の視聴率を更新…。

「幸せな結末」に比べて、逆風の中でがんばった「恋するふたり」ですが、17年の時を経た現在(いま)、素晴らしい完成度を誇る「恋するふたり(Album Ver.)」として届けられました。


これを、なぜ、もっと早く世に出さなかったのか…。

いや、いまが「その時」だったのかもしれない…。

なんといっても、今回、『 Happy Ending 』のプリマスタリングは、最高なのですから。


さて、今回ご紹介した動画の曲たちは、驚くほどベタなものばかりです。

「幸せな結末」のときのような意味深な仕掛けはないものの、「恋するふたり」で大滝さんは、大好きなブリル・ビルディング・サウンドを思う存分やりたいようにやった…。

そんなふうに思えます。

ブリル・ビルディング・サウンドといえば、当時のティーンエイジ・ポップスですから、やはり「♪ Boy meets girl Girl meets boy 」は、ゆずれないわけですね。

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